FC2ブログ
さらし文学賞
スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |


ママが魔法少女にキッスした。 【魔法少女松田☆智治~First blood~】


 200x年12月24日深夜。
 私は娘の部屋に侵入しようとしている。
 魔法少女のコスプレをして。
 そして一人の父親、いや漢として。  
 …読者諸兄は私のことをとんでもない性的倒錯者、とか何を「おっぱじめる」気だ、この鬼畜。
 などとお叱りになるだろうが言い訳をさせていただきたい。
 これには深いわけがあるのだ。



 ことのはじめりは去年の10月。娘が熱を上げて視聴している
「魔法少女シリーズ第4作目爆走少女セイント・ヘッド(聖闘士・頭)」の少女たちが悪の体制ブラック・マッポに、必殺ブッコミ・チェーンアタックを…
 …君たち、いい大人がなんで幼児向け番組に詳しいんだ、やっぱり変た…とか思ってるんじゃないだろうね。
 いや、娘が何回も繰り返し私に熱く語ってくるから覚えただけだ。得てして父親とはそういうものなんだ。
 わかるね。
 話がそれた。
 とにかくEDも終わり今週分の放送が全て済もうとしていた時であった。
「クリスマス!君の家にセイントヘッドの頭、メリイ(減李萎)がやってくる!!はがきのあて先は…」
 これには驚いた!なに!あの麗しく儚げながら毅然とした態度で悪の体制と戦うマリーさんがおうちにやってくるだと!
 だがそれ以上に驚いていたのは娘であった。
「ぱ、っぱぱ…ぱぱ」
 娘はいまにもテレビに喰らい付きそうな勢いで叫んだ!
「パパ!パパ!何やってるの早く応募応募!」



 と、まあこんな感じで応募したわけだ。はっはっは!
 でもってTV番組の懸賞この格好に何の関係があるというと、応募から1か月たち2か月たち…待てど暮らせど、
 マリーさんへのクリスマスパーティ招待券のお返事が来なかったのだ。
 つまり落選したのだ我々は。
 …国立医薬研究所の開発部長を務める私の誘いを断ったというわけだ。
 いやそれなら、エリートとして器もでかい私だ。
 まだ許そう。
 許せんのは私の娘!
 日本の至宝!
 地上に舞い降りた織天使(セフィラム)!
 かわいい刹那の誘いを断ったということだ!
 …だが私もイイ大人だ。
 この世の理不尽に怒りをぶつけてもどうにもならないことぐらい知っている。
 医療の現場で幾多もその理不尽と戦ってきたからわかる。
 欲しいものがあるとき、目の前に立ちふさがるの壁を破壊するとき必要なのは拳や肉体ではない。
 必要なもの…
 それは魔法のパワーよ☆!
 …と決め台詞と共に子供の時からの宝物、
「魔放射少女ベクレルん変身ラディカル・ステッキ(C13同位体配合)」でポーズ決める。
 そういうことで不肖私がマリーさんの代役を務めることにしたわけである。
 さてそろそろ刹那ちゃんに会いに行くとしますわよ。
 可愛らしいウサちゃんカバーのかかったドアノブに手をかける。
「あなた本当ばかじゃないの」
 …いつの間にか背後にいた我が娘の次に最愛の妻(都子32歳)からの容赦ない一太刀。
「嫉妬してるのかこの衣装を着れないこと…もとい娘を喜ばせることに」
「…ほんとバカ…」
 やっぱそうか。
 ごめんねー素直じゃなくっててやつか。
 よしよし愛い奴め、今夜は娘の次に可愛がってやる。
 妻のジェラシーを背に感じつつ部屋に侵入。
 暗い。
 何も見えない。
 娘はどこだ。
 うかつだった。
 計画の完璧さに酔いしれてたせいで部屋の暗さを計算に入れるのを忘れていた。
 と、取りあえず見つからないよう部屋の隅に移動して…ぐべえ!
 いてえ!なんか踏んだ!なんじゃこれ!
 …娘の大のお気に入りだった汁馬煮亜藩の森の天守セットの無残な姿だった。
 コワシチャッタ。
 …なんたる不覚。後でまた買ってやるからな!
「そこにいるのは誰!?」
 しまった。今の音で娘を起こす失態まで!嗚呼!
 とっさにおとり潰しになった藩城を背に隠し、部屋の隅に隠れる私。
「ま、まさかサンタさん…?」
 さすがわが娘。なんて完璧なラブリー回答だろう。だが今宵のサンタ(パパのコスプレ)は一味違うのだ…!
「わ、私は…」
 ここから高校のとき合唱部で男ながらアルトに配置されていた私の「本領発揮(高音による声マネ)」である。
「マリーさんだよ!」
 決まった。
「マリー…さん?」
 ミスった。
「いや…メリー…ですわ!」
 思考回路はショート寸前。
 今すぐ逃げたいの。
「どうしたの?そんなガラガラ声で…しかもメリイをマリーさんっていうなんてまるでパパそっく…」
「わー!わー!違うの、これは…そう!ブッラクマッポの所為で!こんな!うん!」
 ナイスフォロー私。
 おのれブラックマッポ!
「…そうなんだ。かわいそうに…」
 ああ娘よ!
 非実在少女にさえやさしくする聖女よ!
「ところで!まさか私のはがきを読んで!?」
「ええ!そうよはがきの中で一番あなたが一番って思ったから来たの!決してほかの家に行ったりはしてないわ!」
「うれしい!!」
 その声が聞きたかった。
 おお私は今極楽にいます。
「メリイ、寒い中大変だったでしょ!そんなところいないでこっちきて布団は入りなよきなよ!」
 今いくわ!と即答したかったが体が動かなかった。
 実は小生体を鍛えることが趣味の一つでなんというか所謂ガチムチ体型ってやつで、つまりこのコスチュームもピッチピッチの状態なのだ。
 さっき「本場(女子合唱部室)」仕込のアルトによる声マネを見破った彗眼を持った娘だ。
 万に一つパパであることがばれる恐れがある。
「どうしたの…?」
 娘が不安からか、そして部屋の寒さもあいまってか、震えた声を出す。
 ああ!寒いだろうに!12月の真夜中にたたき起こされて…かわいそうに。
 今すぐ抱きしめてやりたい。
 だがそしたらばれる可能性も発生する。
 どうするんだ俺。
「まさか…」
「…」
 万事休す!
 こんな時特攻少女にはイケメン仮面様が助けに来るのに!
「第23話電気椅子は可塑性プラスッチックの夢を見るかに登場した怪人アタマデッカードにプラスチック・ポジトロンを食らってしまい醜い顔に変えられたのね!可愛そう!」
「………はい。」
 あなたがイケメン仮面か。
 それにしてもなんという娘!
 膨大な記憶量に裏打ちされた無理のないシナリオ!
 そして世界平和ばかりでなく俺も救われる!
 これを書きしたためTV局に送りたい。
「…そう。そんな体で無理をして…醜い姿のままみじめな一生を送るなんて。かわいそう…」
 んん?今なんかひどいこと言わなかった?この天使?
 …まあいい。計画を最終章(フィナーレ)に突入させよう!
「そうだ、刹那ちゃん!今日はプレゼントを持って来たの!」
「プレゼント!まあ素敵!」
 よし有無を言わせずプレゼントを渡して即撤退…
 しまった!
 プレゼントを渡すためには刹那に近づかないと!
 クソ…しょうがない予定は変更です!
「…いや、その…そうだ!刹那ちゃん、欲しいものを言ってから目を閉じて御覧。あなたの手に、その、それが手に入りますわよ」
「本当!」
 …凌いだ!さすが俺!さすが幾多の危機を乗り越えたエリート!そして危機回避能力だけじゃなくって調査能力も高い私。
 ふっふっふ。前からお前がマリーさんの「変身サイドミラー(フォルクスワーゲン)」を欲しがっていたのを知っているのだよ。
「えーっとねえ!私ねえ!」
 いえ、いうのだその可愛いお口で!
 イってしまえ!
「そのねえ…」
 ミラーが欲しいか!?
 ミラーをくれてやる!!
「赤ちゃんが欲しい!!」
 もじもじと顔を赤らめなんて可愛いことを………え?
「下の妹が欲しい!」
「………は?」
「あのねえ私メリイが持ってるアリルちゃんのようなどんな汚れ仕事も不平ひとつもらさず完遂し、
 かといって決して自分が目立つような莫迦をせず姉を立てることを第一に考える、そんな忠実な妹が欲しいの!」
「………………………………」
「えへへ~もう目ぇ開けていい?」
「………わかったちょっと待ってろ…」
 やっと一言だけ発することができると私は部屋を出た。
 娘があわててメリイ!と呼びかけてきたがとても反応してやることができない。
 そのままリビングに入る。
 ソファーに身をゆだねていた都子(32歳)がふくれっ面で明石屋サン○を見ていた。
「ああ、あなた。がっちむっちな魔法少女うんたらに刹那は喜んでくれましたか?」
 俺に気付くなり毒舌の刃をふるってきた。
 いじけてやがんのかこの…
 無言で都子に迫る。
「あなた?」
 肩を鷲掴みにする。
「やっぱりばかなかっこで刹那をっむぐっ。ちょっ!」
 都子の刃を俺の刃で受け止める。
 舌と舌の糸引くつばぜり合い。
「うう…むんんっ…ちょっと、ともはるっんん!」
 服の上から胸を乱暴に愛撫してやる。それに呼応するかのように都子の舌が痙攣した。
「昔からこれに弱かったよなあ」
「ちょっふざけないでよ刹那にみられちゃ…ひゃうっ」
 快感でとろけた表情の上に必死に作る怒りの面相がなんともいじましい。
「こんな!んん!ところっで!んんっあっー」
「今夜は刹那の代わりにとことん可愛がってやるからな。あと女の子を刹那の下に作ってやろうな」
「…んもうっほんとっばかッ…あっあっ…んんん」
 頭の中を三つの言葉がめぐり続ける。
 理不尽…魔法の力…肉体と拳…
 わかっていたさ。
 私はずっと手にしていたラディカル・ステッキを放ると妻の乳房にあてがった拳にさらに力を入れた。

スポンサーサイト

第二十四回さらし文学賞 | trackback(0) | comment(0) |


| TOP |

comment











管理人のみ閲覧OK


trackback

trackback_url
http://pilloryofprize.blog57.fc2.com/tb.php/225-b32ae34d

| TOP |

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。